-
はじめに
- プロジェクトをご覧いただき、ありがとうございます。株式会社ファーストの製作と販売を担当しております藤田佳世と申します。今回のプロジェクトを担当しています。今回はインタビューにお答えしながら、私たちのことを皆さんに知って頂けたら嬉しいです。よろしくお願いいたします。
参加者
株式会社ファースト代表取締役:石垣昭雄
株式会社ファースト製作販売担当:藤田佳世
(以下、敬称略)
インタビュアー
ちばぎん商店:磯田 -
-
私たちについて
- はじめに私たちの会社について、紹介させていただきます。
私たち株式会社ファーストは、バッグと革小物の製造会社です。「ファースト」という社名には、最高のものづくりをする、という決心と、決心をした最初の気持ちを持ち続けるという気持ちを込めました。現在は主にOEMや下請けで国内有名ブランドのバッグ・財布・革小物を製造しています。数年前から オリジナル商品をオンラインストア「 WhiteWood 」(下記リンク)で販売しています。 -
-
- 「WhiteWood」という名前は、私たちがずっと作り続けてきた場所である柏市の柏という漢字を偏と旁に分けて、木と白を英語にして前後を変えたものです。作り続けてきた柏市への愛着と感謝の気持ちで名づけました。
-
C-VALUEクラウドファンディングへの挑戦について
- 磯田:今回、クラウドファンディングは初挑戦ですね。何かきっかけはございますか?
藤田:ずっとものづくりに注力していたこともあり、販売に関して難しさを感じていた中で、C-VALUEクラウドファンディングを知ったところがきっかけです。数年前から少しずつ、メイン仕事のOEMや下請けの製造の合間に時間を作って、当社オリジナル製品をオンラインストアで販売してきました。コンセプトのはっきりとした商品群を作りたいと考えていましたし、クラウドファンディングを通じて、たくさんの方々に私たちのオリジナル製品を知ってほしい、使ってほしいという気持ちで、思い切ってチャレンジしました。 -
今回のC-VALUEオリジナル商品について
- 現代の社会生活に合うアイテムを革というすばらしい素材と、私たちの革を扱う技術を使って商品を作り、お届けしたいと思います。使う素材は、革が好きな人に向けて、とてもすばらしい風合いの革、その革に合うファスナーや金具を選んでいます。デザインは定番の型に私たちなりのアレンジを加えて「外装内装パーツには機能性と実用性がありシンプルで美しいこと」、「安心を感じる形であること」、「手に持つとき、開閉するとき、持ち歩くとき、スムーズにできること」を念頭において形にしました。
磯田:今回ご出品されているもの以外で、御社の製品にはどんなものがあるのでしょうか。
藤田:作っている種類は本当にたくさんありますが、例を挙げると、バッグは書類鞄、ダレスバッグ、ショルダーバッグ、トートバッグ、リュック、サコッシュ、セカンドバッグ、ボストンバッグ、通勤A4バッグ、箱型バッグ、ポシェット。財布は長財布、二つ折り財布、ラウンド財布。革小物は名刺入れ、キーケース、ペンケースなどです。
磯田:一般的には、鞄職人さんなど1つのものに特化して製作されている方が多い中で、非常に幅広い種類の製品づくりに取り組まれているのですね!驚きました。
石垣:ものづくりが好きなので、いろんなものを作りたいんですね。それで特定のアイテムにはこだわらず、作りたいものを作っているからだと思います。いろいろ作っているほうが楽しいですから。企画やメーカーのお客様から製造を依頼される時に、たとえそれまで作ったことのないアイテムだとしても断らずになんとかやってみるという姿勢でニーズに応えてきました。そのため気が付くとアイテム数が増えていったのだと思います。
磯田:ものづくりが大好きで、想いのこもった革がいろんな形で表現されているんですね。製品の種類が多いことも御社の魅力ですね。なんとかやってみるという姿勢は御社ならではですね。
藤田:私もこの仕事を始めて30年くらいになります。元は、バッグ専門商社の開発室で、日々図面からバッグを作るサンプル職人でした。それが今の職人としての基礎になりました。退職後は、量産の仕事をするようになり、今もバッグを作っています。
磯田:藤田さんも長年ものづくりに携わられてきたんですね -
素材について
- ■植物タンニンなめし革
動物の皮を素材として長く使えるようにする「なめし」という工程に植物の渋を使っています。大量生産できる「クロムなめし」に比べて時間がかかる昔ながらのなめし法。 -
- ■植物タンニンなめし+オイルプルアップ革
天然の渋でなめした革に多量のオイルやワックスを染み込ませています。やわらかく耐久性があり、オイルによるしっとり感とツヤのため「革らしい革」の印象があります。折り曲げたところはオイルが移動することで色がうすくなるため、その色変化から立体感がうまれます。使いこむほどに美しいツヤが増します。 -
- ■エクセラファスナー
エレメント1つ1つに入念な磨きをかけ、美しく滑らかな手触りのYKK製ファスナーです。 - 磯田:クロムなめしはどのような方法なのでしょうか。植物タンニンなめしと比較すると、どんなところが特徴なのでしょうか。
石垣:クロムなめしは植物タンニンなめしに比べて新しいなめし方法で、大量生産のために開発され化学薬品を使います。クロムなめし革はやわらかいのに耐久性が高く、他にもたくさんの良い特徴があります。私たちのオリジナル商品にもクロムなめし革のものがたくさんあります。製品の用途に応じて革の種類を選択しています。
磯田:そうなのですね。用途によっても異なるもので、非常に繊細なのですね。今回はあえて「クロムなめし」に比べて時間がかかる昔ながらのなめし法を採用されていますが、どんな理由があるのでしょうか。
石垣:今回のプロジェクトでは私が個人的に好きな植物タンニンなめし革を選びました。植物タンニンなめし革は、私にとって、子供の頃に使った野球のグローブだったりベルトだったりが思い出されるような、懐かしさや温かみを感じる革です。実際に見たり触れたりすると、理屈抜きで「革らしさ」を感じていただける素材だと思います。 -
こだわり・おすすめ
- 磯田:今回、いろんな製品をご出品頂いております。石垣社長・藤田さんが「これは是非使ってみてほしい」と思うお気に入りの製品はございますでしょうか。
石垣:私のこだわりの商品は革製品の中でも定番アイテムの長財布です。最近は薄い財布が流行していますが、この長財布はほどよい厚みをもたせて重厚感にこだわって作っています。
藤田:私はペンケースがおすすめ商品です。外装は3mmくらいある厚い革です。革の切り口は、丸みをつけるように削ったあとに染色して、それから磨いて、と手間をかけていますが、あえてクラフト感のある素朴な雰囲気に仕上げています。形に関しては、ファスナーを全開にするとほぼ平らになります。なのでミーティングなどでペントレーとして使えます。内装革はオイルとワックスを塗りこんだ革を使っています。オイルだけのプルアップ革だとしっとりとしているのですが、ワックスが入ると表面がつるっとします。その手触りがペンケースの内装に良いと思って選びました。 -
こんなシーンで
-
-
- ミニマルカードケースはカードポケットが4枚分とオープンポケットが一つのシンプルなアイテムです。内側の見えない部分まですべて表裏貼り合わせた上質な革を使い、コバ染め、ステッチワークを丁寧に仕上げています。免許証や使用頻度の低いキャッシュカードなど、財布と分けて持ちたい大切なカードの収納に使っていただきたいアイテムです。また、植物タンニンなめしのオイルプルアップレザーの良さを試してみたいという革好きの男性に楽しんでいただけると思います。
-
- ペンケースは、シンプルで上質なものが好きな女性が満足するアイテムをイメージして作りました。会議や会合などで、ペンケースを人前で出す機会は多いものです。便利でおしゃれな文房具が溢れる昨今、ノスタルジックでクラフトテイストなペンケースは、人とは少し違う自分を表現できるアイテムだと思います。木の葉の形のファスナー引手はこだわって作っていますので、特に見ていただきたいパーツです。
-
-
-
- 小銭入れ付き長財布はメンズの定番アイテムなので、コバやステッチの美しさには特にこだわって作っています。外装の透明感のあるオイルプルアップレザーは上品さと親しみを併せ持った表情を楽しめる革です。内装の無染職タンニンなめし革、コバの黒染めの強いコントラストの美しさを見ていただきたいと思います。外装革は、今までコードバンやブライドルレザーなど、いろいろな種類の革財布を使ってきた革マニアの方にも十分満足いただける経年変化をします。内装革は無染色ですが、経年変化が穏やかに明るい色みが長くつづくように、ごく少量のクロムが入っています。カードスロットは6枚分ですので、スマホアプリの利用で持ち歩くカード枚数が少なくなった方におすすめです。カードの収納枚数が多い財布は固くなり、それぞれのカードが取り出しにくくなることがありますので、収納カードを厳選して財布の使い方を変えようとお考えの方にぜひ選んでいただきたいです。
-
- ラージトートバッグは建築関係の営業の方の持つバッグからヒントを得て作りました。ハンドルのコバ(切り目部分)はしっかりと削り磨きをしているので、見ていただきたいポイントです。内装にはA4サイズの書類やファイルが入るファスナーポケットがあるので、貴重品も安心です。上質な革をふんだんに使っているので、見た目の迫力があると思います。カジュアルな雰囲気がありますが、書類を多く持ち歩く男性にお仕事で使っていただきたいと思いデザインしました。普段使いでは、本当にたくさん入れられるサイズなので、夏に持ち物が増える汗かきの男性におすすめしたいです。夏の服装は少しでも涼しいようにとカットソーのトップスと生地の薄いボトムスになりがちです。そんなときシンプルで上質な大ぶりバッグはコーデをまとめて華やかにしますので、夏にもおすすめなアイテムです。
-
-
製作工程について
- 磯田:ユーザーの方々が使いやすいように工夫をするということに注力されてきたかと思うのですが、作業工程の中で特にこだわっている工程はございますでしょうか。
石垣:すべての工程が大切なのですが、あえて一つを取り上げるなら、縫製です。素材の特性を生かした製作を心掛けていること、使い続けたときにも製品が良い状態であるように考えて作っているところもポイントです。 -
-
お手入れについて
- 革はお手入れをすることで長く美しさを保って使い続けることができます。
お手入れとは具体的には、汚れを落とすことと保湿をすることです。
革が前よりかさついているな、と気が付いた時にはお手入れしてみてください。
ツヤが戻ってきます。 -
-
代表者ご紹介とファーストの立ち上げ
- 株式会社ファースト代表取締役 石垣昭雄
都立工業高専を卒業後、バッグ専門商社に入社し、直営工場で専門機械の制作や機械の導入に携わる。30代半ばに部署移動があり、独学でバッグのサンプル制作を始め、製造フローづくり、外部発注などバッグ製造の量産に関わる多くの業務に担う。
30代後半に退職して、個人事業主としてバッグ製造を始める。製造のかたわら、経験をいかし、他社の中国新規工場を立ち上げたり、バッグのデザインをする。女性バッグメインから、メンズ鞄や財布などの革小物の製造を増やしていく。
2017年、作り手による商品開発・販売を目指し、株式会社ファーストを設立
少人数の職人による高品質の製品づくりに注力し、国内有名ブランドのハイエンド商品を中心に受託製造を行っている。 -
さいごに
- 磯田:ここまでいろんなお話を伺わせて頂きましたが、石垣社長・藤田さんが考える「革製品」とは一体どんなものでしょうか。御社の目指すべき姿や今回ページを見て下さった方へのメッセージもお聞かせいただきたいです。
- 石垣:「よそ行きではなく愛着を持って普段に使うもの」でしょうか。地域の方々には、私たちが良い革製品を作っていると認識してもらえるようになると嬉しいです。業界の中では、高品質の製品を作る会社であることをより広く認知されたいと思います。それとともに、ただ定番品を繰り返し作り続けるだけなく、時流や生活様式の変化を敏感に感じ取り、それに合わせたデザインや製法を発案していく会社でありたいと思います。日頃から「丁寧で正確な仕事をすること」を心掛けている私たちの製品を手に取って頂き、良い革の風合いや感触を感じ取って頂けたら嬉しいです。
藤田:私は子供のころから服やバッグやアクセサリーを作ることが好きでしたので、祖母の助言があり、バッグを作る仕事に就きました。それ以来、ずっとバッグを作っていますが、今でも変わることなく、つくることが大好きです。美しいものを表現するのに、絵を描くことも好きでしたが、絵を描いても生活の何かに役に立つということではないですよね。服を作ることも好きですが、服は人が着て初めて形が完成する。でも革製品は美しいものを形に表現できて、その美が単体で成立して、その上生活に役立つ。私にとって革製品は、「最高に効率の良い美の表現」です。是非、私たちの製品を気に入っていただけたら嬉しいです。